所有者不明土地管理命令の申立て|手続の流れとそろえる資料

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所有者不明土地管理命令の申立てを行う場合、どのような資料を集めた上、どのような流れで手続が進んでいくのでしょうか。

この記事では、申立ての手続と、そろえるべき資料を整理します。制度の輪郭と、誰が申し立てられるのかについては、所有者が分からない土地への対応|所有者不明土地管理命令の概要もご参照ください。

目次

申立先の裁判所

申立先は、その土地・建物の所在地を管轄する地方裁判所です。所有者の住所地でも、申立人の住所地でもありません。例えば、東京23区内に所在する土地については、東京地方裁判所に申立てを行うことになります。

対象の不動産が複数ある場合の管轄は、事案によって整理が必要になります。対象を決める段階で、あわせて確認しておく事項です。

申立てに要する主な費用

費用は、大きく分けて4つです。

1 申立手数料(収入印紙)

対象となる土地・建物(共有持分の場合はその持分)1個につき1,000円です。1筆ごとに数えるため、対象が3筆であれば3,000円になります。

2 予納郵券

裁判所ごとに金額と内訳が決められています。東京地方裁判所は6,000円、大阪地方裁判所は6,150円と案内されています(2026年8月時点)。

3 予納金

官報公告の費用、管理のために必要と見込まれる費用(樹木の剪定などの現地の管理、売買などの事務手続に要する費用)、管理人の報酬などに充てられます。

金額は、あらかじめ決まっていません。予定される管理事務の内容や、管理に要する期間などを踏まえて判断されます。管理が終了して予納金に残りがあれば、残額は返還されます。

公表された目安の金額はありません。もっとも、同種の事件で実際にいくら納めているかを知っていれば、おおよその見通しを立てることができます。資金の準備を含めて着手時期を決める場面では、ここを早めに押さえておくことが有効です。

4 登録免許税

命令が発令されると、その登記の嘱託に登録免許税がかかります。大阪地方裁判所の案内では、対象不動産の価格の1,000分の4とされています。

申立書に書くこと

申立ての原因として記載すべき事項は、主に以下の3点です。

1 利害関係
  • 申立人とこの土地との関係
  • その土地が適正に管理されることについての利害
2 所有者不明の事情
  • 調査を尽くしてもなお所有者が分からないこと
  • 探索の経過
3 発令の必要性

① 現状の管理状況
② 必要な管理行為の内容

いずれも、申立書の「申立ての原因」として記載する事項です。

3の「必要な管理行為の内容」は、土地が放置されているという事実だけでは足りず、管理人に何をしてもらう必要があるのかまで示すことが求められます。

そろえる添付書類

東京地方裁判所の書式では、次の書類がチェックボックスで並んでいます。

書類備考
申立書副本管理人用
委任状弁護士が代理人となるとき
資格証明書法人が当事者であるとき
登記事項証明書対象の土地または建物のもの
固定資産評価証明書
建物の敷地利用権を証明する資料該当する場合
不動産登記法14条1項の地図、または同条4項の地図に準ずる図面の写し
現地に至るまでの通常の経路・方法を記載した図面住居表示を記載
現況調査報告書または評価書申立人が保有する場合
土地所在図・地積測量図土地が登記されていない場合
建物図面・各階平面図建物が登記されていない場合
所有者・共有者の探索等に関する報告書

このうち取得に時間がかかるのは、現況調査報告書や探索等に関する報告書といった資料です。戸籍を出生から死亡までたどる場合や、相続人が多い場合には、収集だけで相当の期間を要します。

申立てから発令までの流れ

1 申立て
  • 申立書の提出
  • 所有者・共有者の探索等に関する報告書
  • 添付書類等
2 公告と異議の届出期間
  • 裁判所が公告を行う
  • 届出期間は1か月を下ってはならない(非訟事件手続法90条2項)
  • この期間が経過するまで、命令は出せない
3 発令と登記

① 即時抗告の期間である2週間の経過により確定(非訟事件手続法56条4項)
② 裁判所書記官が職権で、遅滞なく登記を嘱託

登記がされるため、登記簿を見れば、その土地が管理命令の対象になっていることが分かる状態になります。

以上の流れを踏まえて、申立てから確定までに要する期間を見込んでおく必要があります。

つまずきやすいところ

探索の順序で、期間が変わります

所有者の探索に当たっては、戸籍の収集、現況調査等の種々の対応が必要になります。それらを順序立てて効率よく行うことができるどうかで、全体の期間が変わってきます。

「必要性」を資料で示せているか

現況の写真、近隣の状況、放置によって現に生じている支障といった、発令の必要性を裏づける資料は、申立ての直前に慌てて集めると質が揃いません。現地の確認は、探索と並行して進めておくのが安全です。

弁護士にご相談いただく意味

資料の量が多く、どれも「取れば足りる」ものではありません

添付書類は多岐にわたり、個人で収集する場合には相応の時間と労力を要します。また、集めた資料が、そのまま要件の説明として使えるかどうかは、何のためにその資料を取るのかが定まっているかで変わります。これらを迅速かつ的確に進めるには、この分野の手続を扱う弁護士にご依頼いただくのが確実です。

申立てをする前に、方針を決めておく必要があります

探索を進めた結果、所有者や相続人が判明することもあります。その場合には、管理命令ではなく別の方法のほうが目的に近いことがあります。申立てを進めてから方針を変えると、費やした時間と費用が生きないことがあります。この見極めについても、あらかじめ弁護士にお尋ねいただくことをおすすめします。

KBM法律事務所の対応

調査から申立て、その後の手続まで、続けてお引き受けします

当事務所は、登記・戸籍・現況の調査と、申立書および探索報告書の作成、発令後の手続までを一貫して扱っています。何を、どの順序で、いつまでに行うかをお示ししたうえで着手し、進捗はその都度ご報告します。

費用の見通しも、着手前にお示しします

申立手数料と登録免許税は、対象の個数と評価額から見積もることができます。予納金は裁判所の判断によりますが、別件での予納金額を踏まえて、想定される幅を含めてご説明したうえで、着手をご判断いただきます。

不動産をめぐるご相談全般については、不動産のページもご参照ください。費用の考え方については、料金・相談の流れもご参照ください。

前回の記事は所有者が分からない土地への対応|所有者不明土地管理命令の概要です。ほかの記事は、お知らせ・法律コラムの一覧からご覧いただけます。

本記事は一般的な情報を提供するものであり、個別の事案についての法的助言ではありません。具体的なご事情については、お問い合わせよりご相談ください。

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この記事を書いた人

宮本 健太のアバター 宮本 健太 弁護士(第二東京弁護士会・登録番号62433)

KBM法律事務所(東京・台東区)。建築・不動産をめぐる紛争と、企業間の訴訟・紛争を主に取り扱っています。弁護士紹介はこちら

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