指示されたとおりに追加の工事をした。ところが請求書を出すと、「それは元の見積りに入っている」「そんな金額は聞いていない」と言われる。
追加工事の精算は、工事そのものが終わってから表面化することが多いです。
追加工事の代金も合意があれば請求できるのが原則
当初の請負契約の内容を変更する合意も、新たに追加の工事を発注する合意も、当事者の合意によって成立するとされています。契約書や変更契約書を交わしていないことだけを理由に、請求できなくなるわけではありません。この点は、契約書がなくとも工事請負契約の立証はできるかもご参照ください。
もっとも、追加工事の場合はやや争点が異なります。「工事をしたのだから払われるはずだ」という前提が、そのまま通るとは限りません。
主に争いになる事項
- そもそも「追加」なのか、当初の契約の範囲内なのか
注文者側は「もともとの工事に含まれている」と主張することがあります。当初の見積書や内訳書に何がどこまで書かれていたかが、出発点になります。 - 有償で行うという合意があったか
追加の作業をしたこと自体には争いがなくても、「サービスでやってくれたと思っていた」と言われることがあります。金額を提示していたか、いつ提示したかが問題になります。 - 金額はいくらが相当か
①②が認められても、請求額そのものが争われることがあります。単価や数量の根拠が示せるかどうかが関わってきます。
どの点が争点になっているかによって、必要になる資料も、見通しの立て方も変わります。
手元にあるかを確認したい資料
- 当初の見積書、内訳書(工事の範囲を画するもの)
- 図面と、その変更履歴
- 追加を指示したメール、チャット(LINE、Chatworkなど)
- 打合せの記録、議事録
- 追加分の見積書(いつ提出したかが分かるもの)
- 作業日報、工程表
- 現場写真(追加工事の前後が分かるもの)
- 請求書と、それに対する相手方の反応
- 代金の一部入金の履歴
資料の価値を見極める
- 当初の見積書・内訳書
- 追加指示のメール・チャット
- 図面の変更履歴
- 追加分の見積書
- 現場写真、作業日報
- Aという事実
- Bという事実
- Cという事実
① 追加かどうか
② 有償の合意
③ 金額の相当性
資料の記載内容や体裁等によって、読み取れる事実は異なります。どの資料がどの事実を支え、その事実がどの争点にどこまで働くかは、資料を見ただけで直ちに判断できるものではありません。
たとえば、一通のメールが「追加工事の指示があった」ことを示すとしても、それが有償の合意まで示すかどうかは別の問題です。同種の事案で裁判所がどのような事実を重視してきたか、裁判例と実務経験を踏まえた検討が必要になります。ここが、この分野を扱う弁護士にお尋ねいただく意味のある部分です。
早期の対応が肝要
追加の作業が必要になった時点で見積りを提示し、相手方の返答を残しておければ、後になって②や③が争点になる余地は小さくなります。
現実には、工期に追われて口頭で進めてしまうことも多いと思います。それでも、追加の指示を受けた時点のやり取りを、その日のうちに一通のメールで確認しておくだけでも、残るものが変わります。
工事が進んでしまえば、追加前の現場は撮り直せません。メールやチャットは、端末の入れ替えや担当者の退職等で失われるリスクがあります。動き出しが早いほど、資料は揃います。
KBM法律事務所の対応
当事務所は、工事請負代金の回収を重点的に取り扱っています。追加工事の精算についても、お手元の資料を拝見したうえで、どこが争点になりそうか、何がどの事実を裏づけ、何が足りないのかを整理し、請求の見通しをお示しします。
資料が揃っていない段階でも構いません。何が証拠になり得るのかをご説明することから始められます。
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本記事は一般的な情報を提供するものであり、個別の事案についての法的助言ではありません。具体的なご事情については、お問い合わせよりご相談ください。

